Ige 重症スギ花粉症治療『ゾレア®』(オマリズマブ)

効果の発現と持続

ゾレアを注射してから効果が現れるまで数日~2週間程度かかり、効果の持続はおおむね1ヶ月程度とされています。
したがってシーズン中は効果を切らさないよう定期的に通院して注射を受ける必要があります。

毎シーズンの治療サイクル

シーズン終了後

シーズン終了後は投与を終了し、翌シーズンに症状が再び重症化する場合は改めて同様のスケジュールで治療を行います。

対症療法としての位置づけ

現時点では根治療法(体質そのものを変える治療)ではなく症状緩和のための対症療法ですので、必要に応じて毎シーズン検討することになります。

期待できる効果

ゾレア治療により症状が軽減すれば、その年の花粉シーズンの間は日常生活を快適に過ごせるようになりますし、患者さんによっては毎年のように繰り返してきた大量の薬剤内服が減らせるケースもあります。

※治療継続の判断は、毎シーズン前に医師と相談し、症状の程度や前年の治療効果を踏まえて決めていきます

ゾレアの投与量換算表

「体重」と「投与前の血清中総IgE濃度」の交わったところが投与量となります。

ゾレア治療は保険が効きますか?自己負担はいくらになりますか?
はい、ゾレアは重症のスギ花粉症に対して2020年から保険適用となっています。保険適用の条件として、「既存の内服薬や点鼻薬で効果不十分な重症または最重症のスギ花粉症」であることや、血液中のスギ特異的IgE抗体が陽性で高値であることなどが定められています。適応に該当すれば公的医療保険が使えますので、患者さんの窓口負担は通常3割です。自己負担額は投与量や回数によって異なりますが、目安として1か月あたり約8,000~17,000円程度(4週間ごと投与の場合)の自己負担との報告があります。投与間隔が2週間おきで高用量が必要なケースでは月に数万円(最大で7万円前後)の負担になることもあります。費用面が心配な場合、高額療養費制度などを利用して自己負担の上限額を抑えることも可能です。当院でも費用の試算や制度の案内を行っていますので、遠慮なくご相談ください。
副作用が心配です。安全性は大丈夫でしょうか?
ゾレアは世界中で多くの患者さんに使用されており、安全性は比較的高いとされています。一般的な副作用としては注射部位の腫れ・痛み、一時的な頭痛やだるさなどが報告されていますが、いずれも軽度で一過性のものが大半です。ごくまれに全身の重いアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こる可能性がありますが、その頻度は非常に低く、海外のデータでは0.1~0.2%程度と報告されています。国内の治験では重篤な副作用は確認されておらず、安全性プロファイルは既存のデータと一貫しています。当院では万一に備え、初回を含め毎回の注射後に一定時間(約15分)院内で経過観察を行っています。専用のアドレナリン自己注射薬など緊急対応も可能な体制を整えておりますのでご安心ください。大多数の患者さんでは副作用よりも花粉症症状の劇的な改善によるメリットの方が大きいと考えられます。不安な点は事前に医師と十分に相談し、納得いただいた上で治療を受けていただけます。
治療期間はどのくらい続ける必要がありますか?
ゾレア療法は基本的にスギ花粉が飛散している季節(約2~3か月間)に限定して行います。典型的には毎年2月頃から投与を開始し、5月頃まで計数回の注射を受けていただきます。効果が現れるまで1~2週間ほどかかるため、花粉が飛び始める直前に初回投与し、花粉シーズン終了までは数週間おきの定期投与を継続します。シーズン終了後(花粉飛散がなくなれば)治療はいったん終了となり、その年の効果を評価します。翌年以降も症状が重く出るようであれば、再び花粉シーズン前にゾレア治療を検討します。ゾレアはそのシーズンの症状を抑える対症療法であり、舌下免疫療法のように年単位で継続する根本治療とは異なります。ただし、ゾレアのおかげでシーズン中の症状が大幅に軽減すれば、毎年春のつらさから解放されるメリットは非常に大きいです。治療を毎年続けるかどうかは症状の出方次第ですが、多くの患者さんは「ゾレアを使った年は本当に楽だったので、次の年もぜひ受けたい」と希望されます。医師と相談しながら、その都度最適な治療計画を立てていきましょう。
ゾレア治療にはどのくらいの費用がかかりますか?
費用は患者さんごとに異なります。ゾレアの投与量と頻度が人によって異なるためですが、保険適用で3割負担の場合、1回の注射につき自己負担額がおよそ1万円~3万円前後になるケースが多いです。具体的には4週間ごと投与で月8,000~17,000円程度、2週間ごとだと月あたりその倍近くになる計算です。初診時や血液検査の費用、併用する内服薬の費用も多少かかりますが、大きな割合を占めるのはゾレア薬剤費です。自己負担上限を超える場合には高額療養費制度により超過分が払い戻されますので、実際には上記ほど高額にならない場合もあります(所得区分にもよります)。なお、12歳以下のお子様については自治体の助成(こども医療費助成制度等)が受けられる場合があります。費用面で不安がある場合は事前に遠慮なくお問い合わせください。当院受付でもおおよその費用見積りや制度のご案内をいたします。
通院頻度はどのくらいですか? また治療時の所要時間は?
通院は花粉シーズン中に2週間に1回または4週間に1回のペースになります。初回は診察・検査など準備に時間がかかりますが、一度治療が始まれば定期的に注射を打つための通院となります。注射自体は数分で終わりますが、注射後に約15分間は院内で様子観察をさせていただきます。これは前述のようにごくまれなアレルギー反応に迅速に対応するためで、安全管理上必要な措置です。したがって来院からお帰りまでの所要時間は概ね30分弱とお考えください(院内混雑状況にもよります)。シーズンオフには通院不要ですので、多くの場合1年のうち2~3か月間に数回の通院で済みます。なお、ゾレアは自己注射(自宅で自分で打つ)は認められておらず、必ず医療機関での施術となりますのでご了承ください。定期通院が難しい方にはスケジュール調整等ご協力いたしますので事前にご相談ください。

参考文献

jaci-inpractice.orgOkubo K et al. Add-On Omalizumab for Inadequately Controlled Severe Pollinosis Despite Standard-of-Care: A Randomized Study. J Allergy Clin Immunol Pract. 2021.

  • 吉川沙耶花ほか. オマリズマブを使用した重症スギ花粉症20例の臨床的検討. 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 2022;125(5):884-891.
  • Zhang Y et al. Omalizumab is effective in the preseasonal treatment of seasonal allergic rhinitis. Clin Transl Allergy. 2022;12(1):e12094.
  • Tang R et al. Prevention of omalizumab for seasonal allergic rhinoconjunctivitis: a retrospective cohort study. Front Immunol. 2022;13:913424.
  • Tsabouri S et al. Omalizumab for the treatment of allergic rhinitis: a systematic review and meta-analysis. Rhinology. 2021;59(6):501-510.
  • Yamani I et al. Efficacy of Biologic Therapies in the Management of Allergic Rhinitis: A Systematic Review. Cureus. 2024;16(10).
  • Bayar Muluk N, Cingi C. Biologics in allergic rhinitis. Eur Rev Med Pharmacol Sci. 2023;27(5 Suppl):43-52.
  • Yu C et al. Clinical efficacy and safety of omalizumab in the treatment of allergic rhinitis: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials. Am J Rhinol Allergy. 2020;34(2):196-208.
  • Cavaliere C et al. Long-term omalizumab efficacy in allergic rhinitis. Immunol Lett. 2020;227:81-87.
  • 安達一雄ほか. 第126回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会学術講演抄録 2024.
  • 天野方一. メディカルノート 2025年2月13日.
  • 足立耳鼻咽喉科 伏見クリニック(Xolair 解説ページ)