髄膜炎菌ワクチン
髄膜炎菌感染症とは
髄膜炎菌感染症は、発症からの進行が非常に速く、命に関わる重篤な感染症です。適切な治療を受けても致死率が10~15%と高く、回復しても約20%に難聴、神経障害、四肢切断などの後遺症が残ることもあります。
初期症状は発熱、頭痛、嘔吐など風邪に似ていますが、急速に進行し、24時間以内に重篤な状態になることがあります。その予防として、4価髄膜炎菌ワクチン(メンクアッドフィ)が有効です。このワクチンは、髄膜炎菌の主な4つの血清群(A・C・Y・W)に対応しています。
○感染経路
髄膜炎菌は、感染者や保菌者の咳やくしゃみなどによって生じる飛沫や、咽頭分泌物を介して感染します(飛沫感染・接触感染)。
特に以下のような場面では感染リスクが高まるとされています
- キスや会話などの濃厚な接触
- 咳やくしゃみを通じた飛沫の吸入
- 食器やコップの共用
- 寮生活などの閉鎖空間での共同生活
このような状況では、菌が周囲に拡散しやすく、長時間同じ空間を共有することで感染リスクが高くなります。
接種が推奨される対象の方
| 環境要因 | 留学生、寮生活を送る方、自衛隊入隊、警察学校入校者など |
| 職業要因 | 医療従事者、臨床検査技師、研究施設勤務者 |
| 医学的要因 | 無脾症、脾臓摘出後や補体欠損症などの免疫不全状態にある方 |
| 地理的要因 | 髄膜炎の流行地域(アフリカの髄膜炎ベルト地帯)へ渡航・長期滞在予定の方 |
◯ワクチンの効果と持続期間
- ワクチン接種後約2週間で効果が最大となります
- 血清群によって差はありますが、予防効果は平均して5年~10年間持続します(脾臓摘出後は5年ごとに接種)
- 大規模な臨床試験で、その有効性と安全性が確認されています
○副反応について
多くの場合、副反応は軽度(腫れ・発熱など)で一過性です。注射部位の痛み(50%程度)、発赤、腫脹が最も多く、全身症状として頭痛、筋肉痛、倦怠感などが認められることがあります。重篤な副反応は極めて稀で、アメリカCDCの報告では100万接種あたり0.3〜1.0例程度とされています。
接種後は30分間の経過観察を行いますので、時間に余裕をもってご来院ください。
○ワクチンの種類と費用について
| ワクチン名 | メンクアッドフィ |
| 対象年齢 | 2歳以上56歳未満 |
| 費用 | 25,300円(税込) |
◯持ち物
- マイナンバーカード、保険証など本人確認書類
- 母子手帳(お子様のみ)
- ご記入済みの予診票
- 院内ではマスク着用をお願いいたします
